何か読めば、何がしか生まれる

純文学からラノベまで、文芸メインの読書感想文です。おおむね自分用。

随筆

村上春樹 文/稲越功一 写真『使いみちのない風景』の感想

写真つきの随筆である。というよりは、稲越氏の写真集に少しずつ挿入されている随筆、と表現すべきだろうか。1ページ当たり長くても8行程度の文章が、概ね2ページにつき1ページの割合で挟まれている。そうした形式による100ページほどの表題作と、私が読んだ…

山田宗睦『職業としての編集者』の感想

職場の上司ご推薦の1冊。編集者として仕事をするにあたり読んだ。 初版が1979年ということで、手にした時に既に四半世紀を経てた本である。ご多分に漏れず既に絶版なので、Amazonでも書影はなく、読むなら図書館か古書であろう。

養老孟司『唯脳論』の感想

あらゆる現象は、脳の働きが表出したものであるとする“唯脳論”の導入を経て、前半は脳と神経と末梢、それに付随する文化的・社会的事物についての講義。後半は唯脳論的立場から言語、運動、時間、社会、歴史などを読み解く。

夏目漱石『文鳥・夢十夜・永日小品』の感想

(2004年1月読了) 漱石の文芸書(論文などではないもの)はこれで全て読んだことになる(一部2002年以前に読んだものがある)。表題の他、職業作家になり所用で上洛した際の第一印象を描いた「京に着ける夕」、ロンドン留学中の愚痴めいた内容を手紙文で綴…

村上春樹『新版・象工場のハッピーエンド』の感想

村上春樹の随筆か創作か詩(あるいはその複数にまたがった文章)と安西水丸氏の絵を混淆させた本である。「新版」と銘打たれているのは、1983年にCBS・ソニー出版から出た旧版に、「にしんの話」と安西氏の新規画稿を加えたものだかららしい。

夏目漱石『硝子戸の中』の感想

漱石の随筆その2である。先日の『思い出す事など 他七編』(当該記事)が修善寺で自身が経験した危篤状態のことや知人の死を中心にまとめられていたのに対し、こちらはそれから4年ほど経った頃に発表された身辺記となっている。文体も、『思い出す…』が「余…

花村萬月『あとひき萬月辞典』の感想

それは置いておいて変な本である。「辞典」とある通り、「匂い」とか「音楽」といった言葉ごとに章が区切られ、そこに1つ以上のエッセイなり掌編なりが置かれている。もっと大部になる予定だったようだが、発表先などと折り合いがつかず、全9章というこじん…

夏目漱石『思い出す事など 他七篇』の感想

随筆なので、収録されたタイトルを列挙して筋に代えようと思う。以下、収録作。 「思い出す事など」。「長谷川君と余」。「子規の画」。「ケーベル先生」。「ケーベル先生の告別」。「戦争から来た行違い」。「変な音」。「三山居士」。 このうち、漱石が修…

三島由紀夫『若きサムライのために』の感想

友人たちとオールナイトでカラオケに興じた明くる朝、なぜか秋葉原のミスタードーナツでコーヒーを飲みながら読み終えた。徹夜で遊んだ疲労に沈む私には、過ぎたお説教だったようにも思える。